妻は毎年、誕生日だけは一人で出かけていく――12年後、夫がその行き先を知った

11. ダンの幼少期

ダンはキャロルに自分の話をした。「俺の両親は俺が十歳のときに離婚した。親戚の家を転々として、高校まで定住する家がなかった」と言うと、キャロルは黙って耳を傾けた。「似てるね、少し」とキャロルは言った。「似てないと思ってた。でも言ってみると似てるな」とダンは言った。二人とも、十二年間一度も相手に話さなかった子ども時代を持っていた。それぞれが黙って抱えてきたものが、この夜初めて同じ食卓の上に並んだ。

12. 初めての共有

その夜、二人は長く話した。キャロルが施設での記憶を語った。同室だった子の名前、毎年クリスマスに来てくれたボランティアの男性、十八歳で出て最初に借りたアパートのこと。ダンは黙って聞きながら、十二年間知らなかった妻の時間が少しずつ埋まっていくような感覚があった。「もっと早く話せばよかった」とキャロルが言い、「俺が聞けばよかった」とダンは返した。どちらかが先に口を開けば、もっと早く始まっていた夜だったのでしょうか。

13. シスター・エレン

数週間後、ダンはキャロルに「一度会いに行っていい?シスター・エレンに」と言った。キャロルは少し驚いた顔をしたが、「連絡してからにしよう」と言ってくれた。「キャロルを育ててくれた人に、挨拶したい」というダンの言葉に、それ以上の理由はなかった。翌週、二人でセント・マリーズへ向かった。ダンにとっては初めての訪問だったが、キャロルの横に並んで歩く道は、これまでより少しだけ近く感じられた。

14. 施設への訪問

建物でチャイムを押すと、スタッフに案内された。六十代後半のシスター・エレンは白いシャツに灰色のカーディガン姿で現れ、「キャロル、また来てくれたのね」と言った。「今日は夫も一緒に来ました」とキャロルが紹介すると、シスター・エレンはダンをまっすぐ見た。「キャロルが結婚したって聞いたとき、嬉しかったわ」とシスター・エレンは言った。その言葉の温かさの奥に、二人の間にある長い時間がうかがえた。

15. シスター・エレンの記憶

「キャロルはね、三歳で来たとき、ほとんど泣かなかった。他の子は泣くのに、じっとしていた。頑張ってるんだなと思って」とシスター・エレンは言った。「でも夜にこっそり泣いてたのは知ってた。誰にも聞こえないように、小さく泣いていたの」。キャロルはその話を黙って聞いていた。三歳の頃に泣き声を殺していたその子が、今ここに夫と並んで座っている。シスター・エレンはそのことを、どんな気持ちで見ていたのでしょうか。

16. 施設の子どもたち

案内された食堂には、七歳から十五歳ほどの子どもが十二人ほどいた。ダンはその部屋に入ったとき、一人一人の顔を見た。「この中のどこかに、昔のキャロルがいたんだ」と思った。キャロルはその部屋を歩きながら、自然な様子で子どもの一人に声をかけた。まるで毎年のことのように、違和感なく。ダンは少し離れてその様子を見ながら、キャロルがここへ来る理由の輪郭が、少しずつはっきりしてくるのを感じた。

17. 子どもの質問

「お姉さん、毎年来てるの?」と一人の子がキャロルに聞いた。「うん、毎年来てる」とキャロルは答えた。「なんで?」「ここで育ったから」。子どもは少し間を置いてから、「ここで育って、外で暮らせるの?」と聞いた。「暮らせるよ。ちゃんと」とキャロルははっきり言った。ダンはその会話を横で聞きながら、キャロルが毎年ここへ来ることの意味を、また一つ新しく理解した。あの言葉を、この子はどこかで思い出すことがあるのでしょうか。

18. 施設を出た後

帰り道、ダンとキャロルは並んで歩いた。「二十歳のとき、最初に来た。給料が入ったとき、少しだけ寄付した。施設にいた頃、クリスマスにボランティアの人が来てくれたのが嬉しかったから、私も誰かのためにそうしたかった」とキャロルは言った。それから毎年続けているうちに、誕生日という日が自然に重なったのだという。義務ではなく、続けていたら形になったものだった。

19. ダンの申し出

「来年は一緒に行っていいか?」とダンが言うと、キャロルは少し驚いた顔をした。「一人で行くのが大事なら一人でいい。でも一緒に行けるなら、行きたい」とダンは続けた。「重くならない?」とキャロルが聞いた。「重くない。ただ行きたい」とダンは答えた。キャロルはしばらく考えてから「来年、一緒に行こう」と言った。その言葉は短かったが、十二年間一人で続けてきた何かを、初めて分けようとしているように聞こえた。

20. 次の誕生日まで

次のキャロルの誕生日まで、まだ一年近くあった。その間にダンは一つ決めた。一人でセント・マリーズを訪ね、シスター・エレンにキャロルの子ども時代の話を聞くことにした。「知りたい」という気持ちだけがあり、そこに理由を足す必要はないと思った。キャロルには言わなかった。驚かせたいわけでもなかったが、まず自分だけで動きたかったのでしょうか。

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