妻は毎年、誕生日だけは一人で出かけていく――12年後、夫がその行き先を知った

21. シスター・エレンの話

一人で訪ねると、シスター・エレンは快く話してくれた。「キャロルはよく本を読んでいた。図書室に一番長くいる子だった」と言い、「十八歳で出る前の夜、私のところに来て『ここで育ててくれてありがとう』と言ってくれた。嬉しかったわ」と続けた。ダンはその話を聞きながら、何かがつながる感覚があった。黙って本を読んでいた子どもと、今も毎年ここへ戻ってくる妻が、初めて一本の線でつながったのでしょうか。

22. ダンがキャロルに伝えたこと

その夜、ダンは「シスター・エレンに一人で会いに行った」と打ち明けた。「え?」とキャロルは驚いた。「キャロルが本をよく読んでいたこと、出る前の夜に挨拶に行ったこと、教えてもらった」とダンは言った。「怒ってる?」と聞くと、「怒ってない」とキャロルは言い、「なんで行ったの?」と続けた。「知りたかった」とダンは言った。それだけで、キャロルにはわかった。

23. 来年の準備

次の誕生日が近づいてきた。二人で書店へ行き、子ども向けの本を選んだ。キャロルは「こっちは絵が多い。これは小さい子向けかな」と言いながら棚を丁寧に見ていた。ダンはその横顔を眺めながら、施設の図書室で本を読み続けていたという子どものことを思った。選ぶ手つきには、その記憶が静かに混じっているように見えた。

24. 三月二十日

翌年の三月二十日、二人は朝から荷物を準備してセント・マリーズへ向かった。「緊張する」とキャロルは言った。「毎年来てるのに?」「一人じゃないのが初めてだから」。ダンはキャロルの荷物を持ち、並んで歩いた。建物が見えてきたとき、キャロルは少し歩みを緩めたが止まらなかった。去年、ダンが一人でこの前に立ち、中にキャロルがいることを知っていた日のことが思い出された。

25. シスター・エレンの出迎え

ドアを開けたシスター・エレンは「キャロル、今年は二人で来たのね」と言った。「先月来てくれたから、旦那さんのことは知ってるわ。あなたのことを聞きに来てくれた」とシスター・エレンはダンに向けて言った。キャロルはダンを見た。照れた顔をしているダンの横で、キャロルはしばらく黙っていた。一人でここへ来て、自分の話を聞こうとした人が夫だったということを、どう受け取ったのでしょうか。

26. 子どもたちへの本

食堂で本を渡すと、小さい子は絵本を手に取り、大きい子は読み物を選んだ。ダンが「本が好き?」と聞くと「うん」と返ってきた。「キャロルも小さいときここで本をよく読んでたんだって」と言うと、「このお姉さん、ここにいたの?」と子どもが顔を上げた。「そうよ」とキャロルが答えると、子どもは少しキャロルを見て、「そっか」と言って本に目を戻した。その短い反応の中に、伝わったものがあったのでしょうか。

27. 帰り道の会話

帰り道、キャロルが「シスター・エレンに一人で会いに行ってくれたこと、嬉しかった」と言った。「キャロルが昔どんな子だったか、俺が知っている十二年より前のことを知りたかった」とダンは言った。キャロルはしばらく黙ってから「十五年分足りてたかな」と言った。「まだ全部知らない。来年も教えてくれ」とダンは言った。足りない分を足していく時間が、まだこれからにあるということを、二人は知っていた。

28. シスター・エレンへの手紙

数週間後、キャロルはシスター・エレンに手紙を書いた。「今年初めて夫と一緒に来られました。毎年来るたびに、少し昔の自分に会っている気がします」と綴った。返事が来た。「あなたが毎年来てくれることは、今の子どもたちの話になっています。ここを出た人が戻ってくることが、子どもたちの支えになっています」とあった。キャロルはその手紙を、しばらく手に持ったまま、もう一度読んだのでしょうか。

29. 誕生日の意味

その年の秋、ダンは「毎年行くことに、何か変化があった?」と聞いた。「一人でやる義務みたいな感覚が、去年までよりなくなった気がする」とキャロルは答えた。「行くことが嫌いになっていたわけじゃない。でも理由がだんだん分からなくなってきていた。あなたと一緒に行けて、理由が少し変わった気がする」とキャロルは言った。一人で続けていた十二年と、二人で歩いた一年は、どちらが長かったのでしょうか。

30. 今年の三月二十日

今年も三月二十日が来た。ダンとキャロルは朝から荷物を準備した。本と文具に加えて画材も入れた。袋は一つから二つになっていた。セント・マリーズへ向かう道を、二人で並んで歩いた。白い建物が見えてきた。キャロルは足を止めなかった。チャイムを押すと、「今年も来てくれたのね」とシスター・エレンが言った。「来ました」とキャロルは答えた。毎年ここへ来る理由は最初から変わっていないが、今年は一つだけ増えていた。※この物語はフィクションです。登場人物や出来事はすべて架空のものであり、実在の人物や出来事とは一切関係ありません。写真はイメージです。

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