11. 翌朝の玄関前

翌朝六時、散歩に出ようと玄関を開けると、扉の前に何かがあった。野ウサギだった。小さな野ウサギが、まるで誰かが置いたかのように玄関の前にあった。最初は野良猫が置いていったのかと思ったが、この辺りに野良猫が来るのは珍しかった。エドワードはウサギを庭に埋めてから散歩へ出たが、その奇妙な朝の光景は歩く間もずっと頭に残った。誰が、何のために、置いていったのだろうか。
12. また翌朝も

翌朝もまた、玄関を開けると何かがあった。今度はネズミだった。昨日のウサギと同じように、扉の前に置かれている。二日続けて小動物が玄関に置かれるのは、もはや偶然では説明がつかない。誰かが置いていくのか、それとも何かの動物が置いていくのか——エドワードはその夜、玄関に小型のカメラを設置することにした。
13. カメラを設置した

ドナに相談すると「それはいいアイデアです。何の動物か記録してください」と言われた。エドワードは夜中の映像が確認できる小型カメラを玄関灯の横に設置し、翌朝確認すると、また小動物が置かれていた。カメラの映像を確認すると、午前三時ごろ、何かが動いていた。エドワードは映像を拡大した。そこに映っていたものを見て、しばらくの間、息をするのも忘れた。
14. カメラに映ったもの

映像には、キツネが映っていた。口に何かをくわえて玄関の前まで来て、地面に置き、少しの間だけ玄関を見上げてから引き返していった。エドワードは映像を止めて、もう一度最初から見た。毛の色は映像では判然としなかったが、体の大きさと、かすかにぎこちない後ろ足の動き方に、見覚えがあった。これはコッパーなのだろうか、それとも全く別のキツネが、なんらかの理由でここへ来たのだろうか。
15. 毛色の確認

エドワードはドナに映像を見せた。「後ろ足の動きを見てください」と言うと、ドナは「少し右後ろ足がぎこちない気がします」と答えた。「コッパーだと思います」とエドワードは言い、ドナも「断言はできませんが、可能性はあります」と認めた。森に返してからまだ一週間も経っていないのに、コッパーは夜中にこの家の前まで来て、何かを置いていく。その意味を、エドワードはまだうまく言葉にできなかった。
16. 毎朝続いた

それから毎朝、玄関前に小動物が置かれた。ネズミ、ウサギ、時に鳥。毎朝カメラを確認すると、同じキツネが午前三時前後に訪れていた。ドナが「野生のキツネが人間の家に食べ物を届ける行動は、ごく稀に報告があります」と言い、「親が子に食べ物の持ち方を教えるとき、安全な場所に置く行動の延長ではないかという説があります」と続けた。それを聞きながらエドワードは、なぜこのキツネはエドワードの家を「安全な場所」だと知っているのだろうかと思った。
17. 一週間後も続く

一週間が経っても続いた。エドワードは散歩の時間を変えて、森の入口で待ってみた。何日か後、茂みの奥に動く影を見た。こちらをじっと見ている。エドワードも動かなかった。影も動かなかった。一分ほど見つめ合って、影は消えた。ただそれだけのことだったが、エドワードには確かな手応えがあった。
18. 二週間目も

二週間目も続いた。エドワードは置かれた動物の数を数えていた。十四日間で十四回、一度も欠かさなかった。「何のためにしているんでしょう」とエドワードが問うと、ドナは「私には断言できません。でも、何かを伝えようとしているのかもしれない」と言った。何を伝えようとしているのか——そのことがエドワードの頭から、しばらく離れなかった。
19. 三週間目も続いた

三週間目も続いた。毎朝カメラを確認するたびに、同じキツネが映っていた。そして気がつくと、後ろ足の動きが以前より自然になっていた。完全に回復したようだった。野生に帰り、自分で食べ、走り、それでも毎晩ここへ来ている——「よかった」とエドワードは映像を見ながら静かに思った。コッパーは確かに生きていた。
20. 一ヶ月目の朝

一ヶ月目の朝、エドワードはいつも通り玄関を開けた。何もなかった。カメラを確認しても、昨夜はキツネが来ていなかった。コーヒーを入れ、散歩に出て、森の入口まで歩いたが、茂みに動く気配はなかった。「終わったのかな」とエドワードは呟いた。その言葉が、予想以上に静かに、朝の空気に溶けていった。