時計の裏側――40年を共にしたオウムが最後に伝えたロバートのメッセージ

11. 娘クレアの提案

翌週、ニューヨークから娘のクレア・ハーパーが訪ねてきました。「お母さん一人でそのオウムの世話をするのは大変よ。譲り先を探してあげる」とクレアが言いました。マーガレットは頷きかけました。しかしその夜、アインシュタインがまた「うしろをみて」と言い始めたのです。クレアはスマートフォンで調べながら首をかしげました。「お父さんが何かを隠したっていうこと?オウムがそれを教えようとしているのでしょうか?」

12. 売却を考える

クレアが帰った後も、アインシュタインの言葉は止まりませんでした。「とけいのうしろ」「ロバートからたいせつなもの」「みつけてあげて」。マーガレットは薄暗いリビングでその言葉を聞きながら考えました。ロバートにはサプライズが好きな一面がありました。結婚記念日には必ず、マーガレットが思いもよらない場所に贈り物を隠しておいたのです。もしかして、まだ何かが残っているのでしょうか?

13. 夜中の言葉

深夜2時、マーガレットは眠れずにリビングに来ました。アインシュタインが止まり木の上で目を開けて待っていました。マーガレットが腰を下ろすと、アインシュタインは静かに言いました。「ロバートがかいた。ぜんぶかいてある」。その言葉の意味を考えながら、マーガレットはロバートが最後の数ヶ月でいつも書斎にこもっていたことを思い出しました。何を書いていたのか、聞けばよかったと今になって悔やみました。

14. 「うしろ」を探す

翌朝、マーガレットはリビングの壁を見回しました。「時計のうしろ」とはリビングにある柱時計のことでしょうか。高さ2メートルを超えるその柱時計は、ロバートが大切にしていました。しかし柱時計の後ろには壁があるだけに見えます。それでも確かめずにはいられませんでした。この重い時計を一人で動かすことはできるでしょうか。やはりクレアに電話すべきでしょうか?

15. 時計の由来

柱時計を詳しく調べようと正面から見ていると、マーガレットはこの時計の来歴を思い出しました。ロバートの祖父が1920年代にドイツから持ち込んだものでした。ロバートは祖父を尊敬しており、この時計を家の中で最も大切にしていました。毎月欠かさずゼンマイを巻き直し、ガラスを磨いていました。「ものには記憶がある。大切にすれば、そのうち答えてくれる」とロバートはよく言っていました。

16. ロバートの癖

ロバートにはサプライズが好きな一面がありました。結婚記念日には必ず、マーガレットが思いもよらない場所に小さな贈り物を隠しておきました。本棚の隙間、鉢植えの裏、靴箱の内側……。アインシュタインはそのたびに一緒にいて、隠す場所を見ていました。ロバートがアインシュタインに「時計の裏」を教えていたとすれば、本当に何かがそこにあるのでしょうか?

17. 娘への相談

マーガレットはクレアに電話して事情を話しました。クレアは翌日の飛行機でニューオーリンズへ向かいました。「お父さんらしいわね」とクレアは笑いながら言いました。「でも本当に何かあるの?単なるオウムの繰り返しじゃないの?」マーガレットは首を振りました。「違う。アインシュタインはただ繰り返しているんじゃない。言葉を選んでいる。ロバートがいつも言っていたとおり」とマーガレットは言いました。

18. 時計を動かす試み

クレアと二人で、重い柱時計を慎重に引き出しました。長年動かしたことのない時計の底には、床に円形の跡がついていました。しかし最初は少しずつしか動かせませんでした。ようやく20センチほど引き出したとき、壁と時計の間の暗い隙間が見えました。クレアがスマートフォンのライトで照らすと、何か白いものが壁に固定されているのが見えました。それはいったい何なのでしょうか?

19. 隠された空間の発見

クレアがもう少し時計を動かすと、全体が見えてきました。壁には小さな木製の扉が取り付けられていました。縦20センチ、横15センチほどの扉で、小さな南京錠がかかっていました。マーガレットの手が震えました。「こんなものがあったなんて……知らなかった」とつぶやきました。クレアが「鍵はどこ?」と聞きました。マーガレットはロバートの書斎の引き出しを開けに向かいました。

20. 中身の確認

ロバートの書斎の引き出しを開けると、最奥部に小さな銀色の鍵がありました。紙に「M」とだけ書かれたタグがついていました。マーガレットの名前の頭文字でした。鍵を持って柱時計に戻り、南京錠にあてると、カチリと音がして開きました。扉の中には何が入っているのでしょうか。マーガレットは深呼吸をして、小さな扉をゆっくりと開けました。

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